従来のようなデザイン行程を踏まなくなった理由

post on 2019/11/21

カテゴリー:ウェブデザイン

コーダースマホディレクターホームページレシポンシブワイヤーフレーム予算

僕がこの仕事についた15年以上前は、ホームページを作る際にはまず製作内容をエクセルなどのドキュメントにまとめ、そこからワイヤーフレーム(ざっくりとした配置とページ要素が視覚化されたもの)を作り、内容を確認した上でデザインソフトでページごとに画像にし、それを見てプログラムに書き換えるという作業工程でした。
システムであればこの後にテストまで行っていましたね。

上記の行程を踏もうと思えば、製作工程をまとめる人間(ディレクター)、デザインする人間(デザイナー)、プログラム化する人間(コーダー)が必要になります。
専任ではないものの、3名が2ヵ月かけて1つのホームページを作った場合、人件費だけ考えても100万では生活できません。
100万以下でホームページを作ろうと思えば、工程を短縮するしかないわけです。
アドベネックが担当させていただいている案件の相場は1サイト4,50万なので、行程の見直しは必然でした。
さらに他にも理由があります。

仕様の確認がいい加減になった

まず最初にワイヤーフレームが現場にそぐわなくなりました。理由は2つあります。

スマホの登場

スマホの登場により、パソコンとスマホでページレイアウトを変えるレスポンシブデザインが一般化しました。
レシポンシブ黎明期はまだパソコンとスマホの表示内容も大きく異なる事も多かった為、これを仕様書にまとめようと思えば時間も倍。費用も倍になってしまいます。

誰も仕様を確認しなくなった

またCMS(管理画面から更新できるシステム)も一般化し、ホームページの機能はホームページの黎明期から飛躍的に多機能化しました。
ホームページの知識のない方にこれを確認していただくということ自体ナンセンスといっても極論ではなくなったと思います。これと同時にお客様から仕様の指示をいただくことが減りました。
また、どれだけ仕様書やワイヤーをまとめてもデザイン後、ひどい場合はCMS実装後に根本的な仕様変更を求められることもあります。多機能化が進むにつれ製作側から見て発注者が仕様を確認できる水準にないと判断出来るケースが多くなったと言えると思います。

なるべくデフォルトの仕様とルールづけられたデザインで進める

多機能化に伴い上記3工程が複雑になったとしても、請求できる額が倍になるわけではありません。
このため製作側としては一気に行程を短縮する必要がありました。一見は製作者側のエゴにも思えますが、同時に発注者側から見てもバグの出にくいデフォルトの仕様や他案件で優位性が確認できるルールづけられたデザインを用いて公開を早めることは大きなメリットです。
なぜならホームページの主戦場は製作から運用に移っているからです。

デザインよりも内容が大切なわけ

アドベネックではデザインより内容が大切だと言い続けています。
納品後2度と関わらないのであれば発注者の意見を丸飲みし、デザイン重視の制作をした方が顧客満足(=発注者)度が高いでしょう。
しかし、我々が制作している時に考えなくてはいけない顧客とはユーザーです。なぜユーザーなのかと言えば、それは発注いただいた方の利益に結びつくから。
運用をすれば最低限のデザインや使いやすいUI(ユーザーインターフェース)があれば、あとは内容次第だということが重々分かるはずです。
これまで製作準備に使っていた労力を、公開後の運用に回す体制作りが急がれます。

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